『和』(Wa),『人の和』(Inhwa),『関係』(Quanxi)

『和』(Wa),『人の和』(Inhwa),『関係』(Quanxi)

『国際的消費者行動論』
第七章「『和』(Wa),『人の和』(Inhwa),『関係』(Quanxi)およびその他の協調関係」概論

International Consumer Behavior:
Its Impact on Marketing Strategy Development
Quorum Books, 1995.

すべての社会において,個人の購買行動に影響を与える特別なグループがある。
それらは集団主義社会における「関係」(Quanxi),「和」(Wa),そして「人の和」(Inhwa)と,
個人主義社会における企業文化である。

「関係」(Quanxi)
「関係」は中国の文化に染み込んだ伝統的な家族制度である。
中国人は「社会における自身の存在は,他の人との関係によって影響される」と考える。
人々は社会で生き残り,昇進するために,彼ら自身可能な限り多くの友人と結びつく。
諸個人は「関係」を通じて政治的,社会的,そしてビジネスの目的を果たすことができる。

実際,中国人たちによれば,「関係」は個人が加わることができる最も重要なインフォーマル組織である。
中国でビジネスを成功させる鍵となるのは個人的なつながり,つまり「関係」である。


「系列」

系列は,「関係」に対立するものとして,主としてビジネスのつながりをいう。
系列の構成員である企業は,その系列に特有なある種の行動を行う。
系列を通じて構築された協調関係に基づいて,日本人は「和」(Wa)と呼ばれるコンセプトを持つ。

「関係」とは異なり,系列と「和」はより企業に関係したものである。
「関係」が直接消費者に影響し,ついで企業に影響を与える一方で,系列の影響は全く反対である(下図を参照)。
系列と「和」に関しては,「和」の方がより人間的であり,それゆえ消費者行動を理解するうえでより重要である。
この概念は実質的に西洋では知られていない。
おそらく,これはアメリカのビジネスが日本で成功しないひとつの理由である。

「人の和」(Inhwa)
韓国のビジネス行動の主要な協調関係は「人の和」(Inhwa)である。
これは「和」と同じく調和として定義されるが,「和」ほどグループの要素を強調していない。
「人の和」のもとでは,部下は上司に忠実でなければならず,上司は部下の福利に関心を持つ必要がある。
また「人の和」の場合,結びつく人たちは典型的に身分・地位が異なり,
組織上のまたはその他のグループの一員ではない人々である。


企業文化

企業文化は消費者行動を修正するものである。
「関係」,「和」,「人の和」が集団主義文化において主要な影響力を持つ一方で,
企業文化は西側諸国や北アメリカの個人主義社会において影響力を持つ。

大石研究室
古川裕康 作成