関与と国際的消費者

『国際的消費者行動論』
第十一章「関与と国際的消費者」概論

International Consumer Behavior:
Its Impact on Marketing Strategy Development
Quorum Books, 1995.

消費者の採用行動(リンク参照)では,
行動の性向と実際の行動の間に「その他の外部要因」と「その他の内部要因」が介在していた。

「その他の外部要因」では原産国の情報(リンク参照)が重要な影響をもっていた。
そして「その他の内部要因」には関与と学習が大きな影響力を持っている。
ここでは,その関与を検証している。

消費者関与のあり方が,消費者行動を分析するための重要な要素になる。
そして消費者の中には関与が高いタイプと,そうでないタイプが存在している。

そもそも関与とは,
国際的消費者行動の視点からは「財やサービスに興味を示すことで現れる知覚価値(または重要度)」であるとされている。
たとえば消費者はある製品を初めて購買しようとするとき,知覚リスクを低下させるため,
様々な製品情報を比較などして製品群への関与度を高める。
その一方で,特定のブランドへのロイヤルティが高い場合,他ブランドや他製品と比較し知覚リスクを低める行動が少なくなる。
つまりブランドへのロイヤルティが高い場合,製品群への関与度のレベルが低下する。

関与は,製品関与・ブランド決定の関与といった形態を通して形成されていく。
製品関与は,製品の訴求力,製品の快楽的インパクト,製品の効用によって規定される。
そしてブランド決定の関与は,ブランドの訴求力,ブランドの快楽的インパクト,ブランド・リスクによって規定される。

製品関与・ブランド決定の関与は感覚的関与に影響をもたらす。
感覚的関与とは心理的なものであり,現実的関与とは別の概念である。
そして感覚的関与は現実的関与に影響する。
なお現実的関与とは,現実の物理的な関与であり行動的な関与形態である。

感覚的関与は,知覚リスクとその他の媒介要因によって規定されている。
ここでの知覚リスクとは,文化によってもたらされたリスク要因である。
その他の媒介要因に関しては,製品やブランドへの親近感が一大要因として挙げられる。
親近感は関与と密接な相互関係を持っており,互いに強化し合っている。

なお関与レベルは,文化の影響によって差が生じる。
そしてそれによって,異文化間における製品やブランドの重要度レベルも相対的に異なる。
そのため国際マーケティング担当者は,様々な関与形態とその規定要因を理解しておく必要がある。

大石研究室
古川裕康 作成