文化―普及マトリックス

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『国際的消費者行動論』
第十三章「消費者行動に基づく国際マーケティング戦略」概論 2/3

International Consumer Behavior:
Its Impact on Marketing Strategy Development
Quorum Books, 1995.

前回は,消費者の製品に対する「関与度の高低」と「学習の速度」が,
どのように国際マーケティング戦略に影響を与えるのかを考慮した。
今回は,文化と普及の相互関係から国際マーケティング戦略を検討する。

集団主義文化と個人主義文化について(リンク参照)

<集団主義社会―迅速普及型>
人的影響力と人的販売が重要になる。
製品をディスプレイしたり,無料のサンプルを配布するために,
有名なチャネルを用いる必要がある。
オピニオン・リーダーやスキミング・プライジング方式を用いて
革新者や初期採用者に訴求することが肝要である。

<個人主義社会―迅速普及型>
大量のマスメディア広告を打つことにより,
認知的学習を促進することが必要である。
スキミング・プライジング方式を採用し,
革新者や初期採用者をターゲットとするのが得策である。

<集団主義社会―緩慢学習型>
人的影響力と人的販売を重視すべきである。
また商品を多くのチャネルで取り扱ってもらい,サンプルを配布するなどして,
市場に受け入れられるための親しみやすさを強化する必要がある。
オピニオン・リーダーを巧く用い,感情的学習の側面を強調することが必要である。

<個人主義社会―緩慢学習型>
認知的学習を推進するためにマスメディアを用いることが重要である。
ゆっくりであるが,大規模に受け入れられるので,
流通システム全般に幅広く取り扱わせることが必要である。
ペネトレーション・プライジング(浸透価格)方式を採用し,ゆっくりと市場に普及させる。

国際マーケティング戦略の担当者は,戦略行動計画の立案に際し,
まず国際的消費者行動を理解するという目標を持つ必要がある。
唯一無比の公式は存在しない。
しかしながら,本書を通して提示している情報や分析手法を巧く組み合わせることで,
担当者は大きな示唆を得ることが可能である。

ここまで消費者を分析し,どのような方策を採るべきかについて検討してきた。
それぞれの国にはそれぞれの消費者ニーズが存在する。
だからといって,各国それぞれに企業の戦略を適応化させるべきであるとするのは現実的ではない。
それは企業の現地化できる能力(企業側のニーズ)は限られているためである。

次回は,「企業側のニーズ」と「市場側のニーズ」を考慮した包括的な戦略について考慮する。

大石研究室
古川裕康 作成