フラット化しない世界

フラット化しない世界

Redefining Global Strategy: Crossing Borders in a World Where Differences Still Matter
Harvard Business School Press, 2007.
【邦訳】望月衛訳,『コークの味は国ごとに違うべきか ‐ゲマワット教授の経営教室‐』,2009年。

今年度,グローバル・マーケティング特論にてゲマワットの”Redefining Global Strategy”を学ぶ。
ゲマワットは23歳の時,マイケル・ポーターの誘いでハーバード・ビジネススクールの教員に加わった。
そしてその後の10年に及ぶグローバル戦略の研究に基づいた成果が本書だ。

声高に「グローバル化」が叫ばれて久しいが,そもそもどういう意味なのだろうか。
トーマス・フリードマンは「グローバル化」時代の様子について,
「国境がなくなり,世界はフラット化し,
人々は場所の制約を受けることなく仕事や機会を見つけることができる」と主張している。

つまり「グローバル化」の進展につれて,様々な差異が解消されていくということである。
その一方でゲマワットは,「セミ・グローバリゼーション」という言葉を用いて
「グローバル化」という概念に対立している。

彼はグローバル化が進展しているとはいえ,いまだに国ごとの差異が非常に重要であるという立場をとる。
そのうえで本書において,クロスボーダーでの差異を考える枠組みをいくつか紹介している。

本書で取りあげられている「CAGEの枠組み」は国ごとの差異を4つの観点から分析するツールである。
また差異を分析したうえで,「ADDING価値スコアカード」を用い
市場規模だけでないクロスボーダー戦略のメリット,そしてデメリットを考える。
そして「AAA戦略」により,差異を念頭に置いた具体的な戦略を示唆している。

彼の著書を用いて行う議論は毎年盛り上がるのが通例である。
私はその理由を次のように考える。
つまり彼の研究が多岐にわたる分野での綿密な調査に基づいており,
かつ彼の概念が世界のさまざまな地域の組織に比較的応用し易いためである。

大石研究室
古川裕康

Redefining Global Strategy: Crossing Borders in A World Where Differences Still Matter
Pankaj Ghemawat
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コークの味は国ごとに違うべきか
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